今回は展示会での振る舞い方という点について考えてみましょう。展示会は新しい商品やサービスを発表するには最適です。しかし、メリットの裏側には知財面でのリスクもあります。展示会ではどのような点に注意すれば良いのでしょうか。詳しく解説しましょう。
展示会への出展
新しい商品を発表する場として、最も良く利用されるのが各業界の展示会です。国内のみならず、海外で開催される様々な展示会に出展することで、新たな販路開拓も可能となります。
更に、展示会への出展は初めての出展することはもちろん、定期的に出展することでも販路を拡大することに繋がります。新規顧客や代理店を獲得することも可能です。
また、展示会では今まで自社商品に興味を持っていなかったという方も訪れますが、既に自社商品を使用している人も多く訪れることになります。展示会はユーザーと直接会話ができる数少ないチャンスです。
限られた時間で成果を上げる為にも、新製品のアピールをしてください。そして、その為に有効なツールとして、知財があります。では、展示会で知財をアピールするツールとして利用することでどのような効果があるのでしょうか。知財で保護されることも重要ですが、展示会においては次のような効果が期待できます。
- 顧客の信頼獲得
- 技術的優位性のアピール
- 他社に対するけん制
特に海外での展示会においては、特許権を取得している技術であることを前面に押し出すことをおすすめします。それにより、以下のような効果を得られることになります。
- 技術面での優位性をPR
- 特許の技術を使うことで高い効果が得られることをPR
結果的に、新規顧客の獲得可能性が高まることに繋がるでしょう。
しかし、展示会に新商品を出展することはデメリットもあります。それは、展示会はオープンな空間であるため、様々な情報が洩れる可能性があるという点です。ですから、事前に情報が洩れないように対策をすることが重要です。
では、情報漏洩しない為の良い対策方法はあるのでしょうか。
展示会で情報がもれないための事前対策
展示会に参加する人は実に様々です。自社商品の愛好家もいれば、競合他社の技術者が情報収集の為に視察していることも少なくありません。特に、他社の技術者がブースに来訪した場合、以下のようなことが起こる可能性も考えられます。
- 技術やデザインが盗まれる
- まだ商標出願していないロゴマーク等が真似される
これらのことは、結果として模倣品が出回ることに繋がります。模倣品が出回ることで、多くのリスクが生じることになるかもしれません。可能性として考えられることは以下のようなことです。
- 粗悪な模倣品が出回ることで自社に苦情が殺到し、苦情対応に人的リソースがとられる
- 粗悪な模倣品が出回ることで自社の製品に対する消費者イメージが低下
- 自社の製品の売り上げが思うように伸びない
こうしたリスクに対して、次のような事前の対策を打つことが重要です(表1)。
リスク | 対策 |
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技術、デザイン、ロゴマーク等の流出 |
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技術、デザインの新規性喪失 | 特許、意匠権取得を目指す技術、デザインがある場合、展示会出展前に専門家に相談し、特許、意匠出願を展示会前に完了 |
他社からの権利侵害の警告 |
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展示会当日の対応
表2は様々なシーンでの対応方法をまとめたものです。
項目 | 対応 |
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製品説明 | 製品説明として他社に対して優位性のある点を強調し、どうアピールするかを整理するとともに、公開する情報と秘匿化する情報を区分けし、秘匿化する情報を絶対話さないように、当日参加する社員に徹底する。 |
パンフレット | 展示会で配布するパンフレットは、英語版も用意し、特許番号を記載しておく。 |
カタログの配布 |
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デモンストレーション | デモンストレーションにより製品の構造や制御方法が分かってしまうことがあるため、必要最低限のデモンストレーションに留める。 |