
知財面で注意する点はありますか?

海外への事業展開を行う場合には現地企業への生産委託をすることで、生産コストを抑えることができます。しかし、技術的な情報漏洩などには注意が必要です。そこで、今回は生産委託をする場合の注意点について詳しく解説しましょう。
海外現地企業への生産委託にまつわるリスク


海外への事業展開を考えた場合、現地で製品を生産することで多くのメリットが得られます。生産委託をするメリットとしては次のようなものが考えられます。
- 低価格での仕入れが可能
- 輸送費の節約
- 生産設備が不要
多くのメリットはお金に関する部分です。つまり、総合的に判断すると、生産コストを安く抑えることが可能という点でしょう。
但し、生産委託をすることはデメリットもあります。デメリットとして考えられることは知的財産の情報漏洩です。生産委託を行う為には以下の2点が必要となります。
- 自社の技術やノウハウを提供しなければならない
- どの範囲まで提供するかを最初に決めなければならない
特に技術指導を行う場合、どの範囲までを指導すべきなのかということも考えなければなりません。指導をしていると、ついつい範囲外の部分まで指導をしてしまうことになります。
教えて良い範囲を決めておいても、その範囲を守らないということでは話になりません。大した事は無いように思われがちですが、内容によっては大問題に発展する可能性があります。このように、ちょっとしたことで技術的な部分の情報漏洩に繋がるので注意しましょう。
ですから、情報開示範囲を守って技術指導するということが大前提にあります。その上で、いかに情報漏洩させないかと点を意識することが重要となります。

では次に、生産委託を行う場合のポイントについて見ていきましょう。
海外企業に生産委託する際の3つのポイント


海外の企業に生産委託をして頂く場合のポイントとして、次の3つの角度から考えてみましょう。
- チューニング技術
- 改良技術の取り扱い
- 委託先との間の技術に関する係争対策
では、それぞれ詳しく解説していきます。
チューニング技術
生産時には様々な部分でチューニングが必要となります。これは、現地の企業に生産委託を依頼している場合も同様です。
ただし、チューニングに関しても情報を開示しても良い範囲・良くない範囲について明確に分けておくべきでしょう。

改良技術の取り扱い
現地で生産委託をしている企業が何らかの改良を提案することも考えられます。しかし、この改良技術が後々問題となることもあるので、事前の契約書に条件を記載することが必要です。
事前に契約をしておかなかった場合について、どのようなことが起こり得るのか考えてみましょう。例えば、次のようなことが考えられます。
- 委託先がこの改良技術について特許を取得
- 上記の特許に関してライセンス料を請求される
- 他社への供与による技術流出
ですから、委託契約書の中で改良技術の事前取り決め(新たな改良発明は共有とする、または無償の通常実施権を付与する等)を行っておく必要があります。

委託先との間の技術に関する係争対策
また、委託先との間で技術に関する係争が発生することも考えられます。
その場合、自社が委託先に対して技術指導をしたことを証明する必要があります。ですから、指導内容を逐次記録しておくのがおすすめです。
技術指導の記録内容としては下記のようなものです。
- 技術指導の時期
- 技術指導の内容
- 両者押印
上記の記録が保存されていると、係争が生じたとしても技術指導の範囲を証明できるので問題にはなりません。

コア技術に係る部分は委託せずに自社内で製造する


製品の製造に必要な技術を大きく分けると、次の2つに分類できます。
- コア技術
- それ以外の技術
その中でも重要なのがコア技術ですが。技術漏洩を防ぐために、生産委託ではコア技術を開示するのは控えるべきでしょう。ですから、技術指導を行う前に、上記の線引きをはっきりとさせておく必要があります。
コア技術に係る部分は技術漏洩を防ぐために、多少コストが掛かったとしても委託せずに日本国内の自社工場で製造することが望ましいでしょう。また、委託先にはコア技術に関連する部分の図面やデータなどの提供も控えるべきです。
また、取引先が他社へ発注するということも防ぎたいところです。そのためにもコア部品及び製品全体の図面やデータなどは開示しないことをおすすめします。
