商標の調査方法!商品・役務の類似を調べてリスク回避を!

質問者
商標権を取得しようと思っているのですが、商品・役務の類似しているものがあるかどうかというのは調べられるのでしょうか?
酒谷弁理士
特許庁で割り当てられている類似群コードが共通しているかどうかで調べられます!

今回は商標権に関する話題です。商品・役務の類似を調査する方法について詳しく解説しますので、是非ご覧ください。商標権の侵害とならないように、早目の対応が大切です。

商品・役務が類似しているかどうかの重要性

商品・役務が類似しているかどうかの重要性

質問者
他社の商標権を侵害している場合、どのような問題がありますか?
酒谷弁理士
まず、自社で類似の商標権は取得できませんし、そのまま使用すると損害賠償請求をされる可能性もありますね。

商標法第4 条第1項第11号により、出願された商標が下記の両方に該当する場合は商標登録を受け付けることができないことになっています。

  • 他人の登録商標と同一又は類似の商標である
  • 出願に係る指定商品又は指定役務がその登録商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものである

また、商標権の侵害となるのは次のような場合です。

他人の登録商標と同一又は類似の商標を、その登録商標の指定商品又は指定役務と同一または類似の商品又は役務に使用した場合。

商標権の侵害になる場合には、損害賠償請求されることもあるので、事前に調査する必要があります。商標権のリスクに関しては、別記事にまとめているので下記リンクを参考にしてください。

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他社の商標権を侵害する前に、侵害する可能性があるか否かを調査しましょう。調査する方法としては下記のような手順です。

  1. 商標が他人の登録商標と同一又は類似であるか否かを調べる
  2. その登録商標と商品・役務が同一であるか否かを判断する

他人の登録商標と類似であるか否かは類似の可能性がある場合も含めて考えるのが良いでしょう。重要なのは、商標が類似していないか、商品・役務が類似していないか、の少なくともいずれか一方を満たせばよいことです。

質問者
商標権の侵害になる場合は、商標自体が同一・類似で且つ商品・役務が同一・類似な場合なのですね!

商品又は役務の類否判断について

商品又は役務の類否判断について

質問者
商品や役務はどのような観点で類似かどうかの判断をされているのでしょう?
酒谷弁理士
同一分野ということが重要になりますね。詳しく見ていきましょう。

特許庁が公表している商標審査基準(改訂第13 版)によると、商標法第4条第1項第11号の『先願に係る他人の登録商標』において、商品又は役務の類否判断について次のように記載されています。

商品又は役務の類否は、商品又は役務が通常同一営業主により製造・販売又は提供されている等の事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品又は指定役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断する

(1) 商品の類否について
商品の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

  1. 生産部門が一致するかどうか
  2. 販売部門が一致するかどうか
  3. 原材料及び品質が一致するかどうか
  4. 用途が一致するかどうか
  5. 需要者の範囲が一致するかどうか
  6. 完成品と部品との関係にあるかどうか

(2) 役務の類否について

役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

  1. 提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか
  2. 提供に関連する物品が一致するかどうか
  3. 需要者の範囲が一致するかどうか
  4. 業種が同じかどうか
  5. 当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか
  6. 同一の事業者が提供するものであるかどうか

(3) 商品役務間の類否について
商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。

  1. 商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか
  2. 商品と役務の用途が一致するかどうか
  3. 商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか
  4. 需要者の範囲が一致するかどうか
質問者
商品・役務の類比は、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断するんですね!

類似商品・役務審査基準

類似商品・役務審査基準

質問者
では、類似商品の役務については具体的にどのように審査されているのでしょう?
酒谷弁理士
商品同士・役務同士の類否を見て判断しています。具体的に説明しましょう。

このように、下記の3点は原則として類似商品・役務審査基準に基づいて判断されます。

  • 商品同士の類否
  • 役務同士の類否
  • 商品役務間の類否

では、類似商品・役務審査基準とはどのようなものでしょうか?

類似商品・役務審査基準は、互いに類似すると推定される商品及び役務をグルーピング化したものです。類似商品・役務審査基準では、同じグループの商品又は役務は次のように扱われます。

  • 数字とアルファベッドの組合せからなる共通のコードである類似群コードが付される
  • 同じ類似群コードが付された商品及び役務については、審査において類似と推定される

わかりやすく文房具類を例にして考えてみましょう。

第16類に属する「文房具類」には類似群コード「25B01」が付与されています。文房具類の商品および役務には、例えば以下のような物があります。

  • 鉛筆
  • シャープペンシル
  • ボールペン
  • 消しゴム
  • 筆箱

上記は全てが類似群コード「25B01」となっているので、互いに類似すると推定して審査が行われます。

また同じ第16類の中には、「文房具類」以外に「印刷物」もあります。「印刷物」の類似群コードは「26A01」です。印刷物に含まれる商品および役務の中には以下のようなものがあります。

  • 雑誌
  • 書籍
  • パンフレット

これらは「文房具類」と同じ第16類です。しかし、「文房具類」と「印刷物」は非類似の商品と推定されます。なお、商品・役務の「区分」は類似関係を定めたものではありません。

質問者
商標の類似群コードは商標の商品・役務が類似しているか否かを調べるのには便利ですね!
商標の調査方法!商品・役務の類似を調べてリスク回避を!
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