【スモール企業の知財戦略】オンリーワン戦略とは?

質問者
スモール企業でも生き残る可能性はありますよね?
酒谷弁理士
もちろんです。まずはニッチな領域でオンリーワンを目指しましょう。
質問者
では、オンリーワンになるためにはどのような知財戦略がありますか?
酒谷弁理士
その製品を作るのに必ず実施しなければならない特許を取得することですね

スモール企業が勝ち残るには、大企業と同じような考え方では難しいでしょう。そこで、今回はニッチな領域を基本として知財戦略産学連携を用いて勝ち残る方法について解説しました。是非最後までご覧ください。

ニッチな領域を基本とする事業戦略

ニッチな領域を基本とする事業戦略

質問者
小さなことからコツコツと・・・と思ってますが、具体的にはどうすれば良いでしょうか?
酒谷弁理士
スモール企業の場合はニッチな領域を狙うべきでしょう。

中小企業の中には、スタートアップのように急成長して短期間でのIPO(株式公開)を目指すような企業もあります。しかし、多くの中小企業は長期間かけて持続的に成長する技術開発型(いわゆるスモール企業)でしょう。

そのようなスモール企業が長く生き残る為には、ニッチな領域においてナンバーワンになることが生き抜くコツです。具体的なコツとしては、次の6つになります。

  1. 世界市場規模が1000億円以下
  2. 大手と競争しない商品を作る
  3. 特許を必ず押さえる
  4. 利益を高くしすぎない
  5. 寿命の短い商品は出さない
  6. 1市場でNo.1商品を1つ持ち複数の異なる市場でNo.1商品を持つ
質問者
スモール企業はニッチな領域においてナンバーワンを目指し、長く生き残れるようにすべきですね。

世界市場規模が1000 億円以下

市場規模は大手が参入しない規模であることが望ましいと言えます。そして、大手が参入しない規模が、世界市場規模で1000億円以下の市場です。

質問者
スモール企業が狙うべきは1000億円以下のニッチな市場がおすすめですね。

大手と競争しない商品を作る

大手とはリソースが違うことは明白です。ですから、同じような戦略で戦っても負ける可能性が高いと言えるでしょう。

質問者
スモール企業があえて負け戦を挑まないように、大手と競争しない商品を作ることも大切ですね。

特許を必ず押さえる

他社の模倣防止及び技術優位性維持のためには、特許を取得することが必要です。

仮に他社から特許侵害で警告を受けた場合でも、特許を取得しておくことで逆に特許侵害で警告できます。クロスライセンス交渉に持ち込めるようにしておくことが重要でしょう。

また、特許を取得しておくことで、ライセンシングビジネスで収益化を目指す方法もあります。

質問者
スモール企業こそ、特許を取得し、ライセンシングビジネスも視野に入れるべきですね。

利益を高くしすぎない

他の中小企業が参入するのを防ぐため、利益を高くしすぎないことも重要です。利益が高いということは他の中小企業から見れば実に美味しい市場だと思われます。その結果、後発で参入しても価格を自社よりも低くすれば製品が売れるという認識となるでしょう。

つまり、価格を低くしても利益が十分に得られるので、結果として競合が増え、価格競争になることが予測できます。

質問者
スモール企業の場合は利益は適度にしておくことが肝要ですね。

寿命の短い商品は出さない

寿命の短い(ライフサイクルの短い)商品での市場参入は良くありません。

寿命が短いということは、常に早いサイクルで商品を出し続けなければいけなくなります。しかし、スモール企業ということはマンパワーがありません。ですから、結果として疲弊することに繋がるでしょう。

質問者
疲弊しないためにも寿命の短い商品は出さず、寿命の長い商品で勝負するようにしましょう。

1市場でNo.1商品を1つ持ち複数の異なる市場でNo.1商品を持つ

まずは1市場でNo.1商品を1つ持つことが重要となります。そして、異なる市場でも同様にNo.1商品を持つことを目指しましょう。

更に、別の市場でも同様に展開していくことで、柱が増え安定します。スモール企業であっても、売り上げ・知名度・信用度も上昇し、長期永続が可能になります。

質問者
スモール企業が勝ち残るための6つのコツは非常に重要ですね。小さなことを積み重ねていくことで長く利益を出し続けることが可能となります。

コア技術を基軸とする知財戦略

コア技術を基軸とする知財戦略

質問者
スモール企業が取るべき知財戦略という点ではどうでしょうか?
酒谷弁理士
やはり必須特許の取得ですね。

最も重要なことは、必須特許を取得していることです。特にコア技術に関する必須特許を取得しておくことで、戦略の幅が拡がることになります。

コア技術を軸として様々な分野において、自社のコア技術を活用できるアプリケーションのアイデアを発想しましょう。

材料メーカの例として考えた場合、コア技術として何かの材料があったとします。そして、その材料を軸に、電気・機械・医・食・住・環境・エネルギー・美容などの様々な分野で活用することを検討しましょう。

その際には分野ごとの技術を産学連携にて大学から取り込み、自社のコア技術と融合させて商品を開発する方法も検討する必要があります。

コア技術に関する必須特許を取得していれば、他社から特許侵害の警告を受けたとしても、その必須特許でカウンターで特許侵害を警告することができます。そして、クロスライセンス交渉に持ち込むことも可能です。

これにより、自社が法外なライセンス料を一方的に払うことを避けられ、経営リスクを低減することができます。必須特許を持っていれば、他社からライセンス料収入を得ることも可能です。

また、スモール企業として考えた場合は生産を他社に委託するファブレス生産を検討することをおすすめします。また、それとともに、特許ライセンスして他社に製造販売を任せるビジネスを展開することも検討しましょう。

質問者
コア技術での必須特許を取得しておくことで、様々な分野への展開も可能になります。

産学連携を成功させるには

産学連携を成功させるには

質問者
では、開発時に産学連携をするにはどうすればよいのでしょうか?
酒谷弁理士
産学連携には4つのポイントがあります。詳しく見ていきましょう。

スモール企業が製品開発を行う上でおすすめの方法は産学連携です。では、産学連携を成功させるには、どのようなことが必要でしょうか?

まずは大学の先生との有効なパートナーシップを作ることが必要です。そして、有効なパートナーシップを作るためには、以下の点が重要になります。

  1. 先生を見極める
  2. 自社でやりたいことをまず明確化する
  3. 頻繁なコミュニケーションの重要性
  4. 期間を区切る
質問者
スモール企業が製品開発を行う場合に、産学連携を成功させるには4つのポイントをおさえるのが大切ですね。

先生を見極める

実は、大学の先生に申し込めばすぐに承諾してもらえるというものではありません。真剣に協力してくれる先生は少数だからです。

質問者
まずは協力してくれそうな先生を見極めましょう。

自社でやりたいことをまず明確化する

大学と共同開発する場合でも目的が曖昧であってはゴールにたどり着くことはできません。

ですから、最初にある程度の技術開発の方向性を自社でつくっておく必要があります。明確にやりたいことを先生に提示することが重要です。

また、実際に手を動かすのは、先生ではなく、先生の研究室の学生になります。ですから、学生が興味を持つように提案することも大切です。

質問者
学生が興味を持つように提案することも大切なポイントですね。

頻繁なコミュニケーションの重要性

先生に任せきりにするのではなく、頻繁にコミュニケーションを取ることが重要です。

例えば、月に1、2回のミーティングを開き、進捗を管理するのが良いでしょう。早期に問題を発見することもできますし、問題に対して即座に対応することも可能です。

また、開発の方向性を定期的に確認し、必要な場合には軌道修正することも重要なポイントとなります。

質問者
頻繁にコミュニケーションを取ることで、結果として無駄な時間も削減できるということですね。

期間を切る

商品化を見据えて、共同開発の期間を切ることが重要です。

期限を切って、その期限の時点で当初想定していたもの(例えば試作機など)ができていなければ、一旦共同開発を中止するという決断も必要です。

その際には、他の民間企業の方が技術開発が進んでいることもあるので、他の民間企業との共同研究を検討しましょう。

スモール企業が勝ち残る為には、常に商品化を早くすることを考えることが重要です。

質問者
スモール企業が勝ち残るには産学連携も必要です。産学連携は4つのポイントを押さえておきましょう。
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